鹿児島県姶良市蒲生町、K様ご家族は奥様の実家に隣接する敷地に新居を建てました。
建築するにあたってひとつの懸念がありました。北側は山並みを背にのどかな田園風景が広がる眺望の良い立地ですが、南側は接道に向かって迫り上がる傾斜になっていたのです。傾斜を埋め立てて建築することも考えたそうですが、その傾斜を活かした家づくり庭づくりの可能性に開眼し、新居は2024年2月に完成しました。
斜面を活かした立体的な庭
K様ご家族の家づくりは住宅メーカーI社の開催した家づくり勉強会に参加されたことがきっかけ。お庭づくりでI社と協業することの多いFORUMとのお庭づくりの計画も同時にスタートしました。
「道路から下がった敷地なので埋め立てた方が良いのかなと、最初は思っていましたが、設計をしていただいた建築家の先生が、“この傾斜を活かしましょう”とおっしゃってくれて、どんな感じになるのか最初は想像できなかったですが、すごく楽しみでした。結果的にプロにお任せして良かったと感じています」(旦那様)。
傾斜を活かす庭全体のプランニングは、建築家とFORUMが打ち合わせを重ねてデザインされました。元々段々畑だったこの場所には、庭石や基礎石がゴロゴロと放置されていたそうで、その石を庭に再利用するということも、埋め立てずに傾斜を活かすこともとてもエコロジカルです。
家づくりと庭づくりを同時に行えたことは、K様ご夫婦にとってとても安心できた要素だったそうです。
「お家を森のカフェっぽいイメージにしたかったんです。そのためにはお庭の雰囲気は重要ですよね。お庭のプランニングを初めて見た時にはワクワクしました。実家の見慣れた風景がどんな風に変わるのか楽しみでした。それから、自分でも色んな樹木に興味が出てきて、カツラの木はぜひ植えたいと思ってプランに盛り込んでいただきました」(奥様)。
桜、梅、モミジ、ヤマボウシ、ロウバイ、ミツマタ、ブルーベリー…。植栽にはネームタグが付けられているから、さながら植物図鑑のよう。
K様ご夫婦は子供たちには自然に触れる機会をたくさん作ってあげたいと考えていらっしゃいます。
「子どもたちには自然に興味を持って欲しいですね。たくさん植物と触れ合って、四季折々の花々やそこにやってくる虫たちのことも知って欲しい。お庭への細かい要望は特にありませんでしたが、自分たちがどんな暮らしをしたいか、そういうイメージはお伝えして、あとはお任せしました」(旦那様)。
360度廻れる庭
K様邸のお庭は南側の傾斜面だけではありません。建物の周囲を巡るように設計されています。玄関脇から北側へ向かうお庭には、小道のような飛び石が田園風景の広がる場所へと誘います。
「来客が道沿いの駐車場から降りてきても、なかなか玄関に入ってこないなと思ったら、家の周りをぐるりと回る方が多いです(笑)」(奥様)。
家の中からも北側にあるバスルームとガレージの間にある坪庭を介して田園風景が見え、植栽のお庭が家と風景を繋ぎます。
K様ご家族は以前住まわれていたアパートでもベランダで家庭菜園を楽しまれていたそうで、新たな広いお庭でやってみたいこともたくさんあるそうです。
「アボカドの水栽培を地植えをしようと計画中です。実はなるか分かりませんがなったらおもしろいですよね。あとはパイナップルやハーブなども育ててみたいです」(奥様)。
お庭の完成後まだ日も浅いので、すっきりした印象がありますが、これから植物の成長とともにお庭も賑やかに華やいでいくことでしょう。
緑の架け橋
「夜のライトアップも良い感じです。この春はウッドデッキで夜桜を眺めながらお酒を楽しめたのが良かったです。庭の上には駐車スペースがあるので、道を通行する車や人の視線も気になりません。道向こうの山桜などは庭の続きのように重なって借景になってくれます。ホテルや旅館に居るみたいだねと夫婦でよく話しています(笑)」(旦那様)。
奥様のご両親も初めて新居に入った時には「旅館に来たみたい」と言ってくれたそうです。嬉しい言葉ですね。
その他にもK様邸には特徴があります。
それは、奥様のお気に入りポイントでもある、ご実家との間にある『ブリッジ』。これもK様ご家族とFORUMが打ち合わせを重ねてデザインしたもの。高さのある石垣と用水路を渡りご実家に至る連絡通路です。完成時はニス塗りだったと思うのですが…。
「知らない間に私の父が緑色に塗っていました(笑)。色々やってくれるのは嬉しいんですけど」(奥様)。
いや、これはこれで素敵な色に変化しました。お父様の愛情が現れています。
お子さまが小さいうちは特にご実家との行き来は多いと思いますので、K様ご家族にとって象徴的な緑色の架け橋になりましたね。
最後に庭づくりの感想をいただきました。
旦那様から
「家にいながら四季を感じられる庭が欲しかったので今はとても満足しています。新居を建てるまで庭の知識もイメージもぼんやりしたものでしたが、建築家の先生と、FORUMの城さんにご相談し、楽しみながら作ることができました。やっぱりアイデアの引き出しが多いプロにお任せすることが良いと思いました。それと家と庭を最初から一緒に計画できたことも良かったです。ダイニングから見える景色までデザインされているので、家と庭の一体感が気に入っています。これから息子と一緒にどんどん庭活動をしていきます」。
奥様から
「傾斜はデメリットだとばかり思っていました。でもこんなお庭になるなんて、家にいるだけで季節が楽しめるなんて、本当に感動です。お庭に完成はないと思うので自分たちでも少しずつ手を入れて、FORUMの方々や城さんに褒めてもらえるようなお庭に育てていきたいです。今は赤紫のシランが咲いていますが、これから先どんな花が咲くのかも楽しみです。香りの良い金木犀を植えるとしたらどこが良いでしょうか?」
地形を活かした立体的な庭で、四季を通じて花が咲き続ける庭をテーマにデザインされたK様邸のお庭。お子さまたちはこれからこのお庭と共に成長してゆくことでしょう。楽しいお話をありがとうございました!